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2010

0708

こんにちは。管理人のうさこです。
いつも「黒」にお越しいただきまして有難う御座います。

皆様に大切なお知らせが御座います。

先月(6月)下旬ごろ、私の愛用PCが壊れてしまい、
データがすべて吹っ飛んでしまいました。
こちらのほうはバックアップがありますので問題ないのですが
HP編集用に使っていたビルダーさんもなくなってしまい、
ソフト自体手元にないものですから、現状、更新ができなくなっております。

そこで、苦肉の策ではありますが、
完全復活する日まで、ブログの追記にて
小話を載せていきたいと思います。

なにぶん、表のページは変わりませんので、分かりづらいかと思いますが、
ブログはちょこちょこ更新してまいりますので
時々見に来てやってください。

追記にて小話 「視線」を載せます。
裏で連載していた「アイシテル」の補完話です。
年齢制限はありません。どうぞお楽しみください。
ではでは。

「視線」
<アイシテル/補完話>

 


「ナルト先輩、まぁた来てますよ、例の彼v」


「・・・・・ふえ・・?」

 

1つ年下の後輩が、肘でツンツンとナルトの腕をつつく。
カウンターを綺麗にテーブルダスターで磨いていたナルトは、
突然の戯れに、きょとんと目を丸くして振り返った。

 

(あ・・・ホントだ。このところ、いつもだな・・・。)


ナルトと後輩の視線の先には、上等な墨を垂らしたような黒髪が美しい、酷く顔の良い男がいる。
彼はナルトたちの視線に気づいたのか、読んでいた冊子から顔を上げ、にこり、と笑みを作った。


「――ああもうカッコいい! いいなあ、ナルト先輩はぁ・・。 超イケメン彼氏もいるくせに!」

「・・・へっ? どーいう意味だってば??」


彼女の言わんとしている意図に気づけないナルトは、眉を八の字にして小首をかしげる。
いつまでも年不相応な仕草が愛くるしくて、後輩の子は、小さくため息をついた。


「あの人、ナルト先輩のシフトの時にしか来ないんです! やっぱり気づいてなかったんですね・・。」


やれやれ、と肩を竦められても、ナルトには意味が良くわからない。
そんなの偶然じゃないの、と笑って過ごそうとしたのに、後輩は首を大きく横に振った。


「付き合うつもりがないなら、はっきり言ったほうが良いですよ! ナルト先輩は愛想が良いから。」

「へ?」

「自分には彼がいるって、ちゃんと伝えないと、あの人、ずーっとナルト先輩のこと追いかけますよ?」

「何それ。一時期騒いでたストーカーってやつ? あはは・・、そんなのオレには無縁だってばよ!」


だってストーカーされるのって、大抵美人さんだろ?とナルトは楽天的だ。
そういえば、この類まれなる美少女は、己の容姿に無頓着な上に無自覚だった。
思わず後輩は、額に指を当てた。

このカフェは決まって、火曜、木曜、土日の昼間と夕方、異様に男性客が増える。
目的はひとつ。愛らしいナルトを見に来るのだ。

だが、店主が目を光らせているため、大っぴらに口説くことはできない。
バイト終わりの出待ちも、ナルトの恋人がほぼ毎回迎えに来るので、チャンスがないのだ。
だから、彼らは見つめるしかない。
愛くるしい笑顔を浮かべ、店内で働くナルトの姿を。

そしてあの美しい男もまた、ナルトの輝きに導かれた一人なのだろう。


太陽と同じ色の髪、
空を映し込んだ瞳、
薔薇を侍らせた唇、
健康的で肌理細やかな肌。

浮かべる喜怒哀楽の移り変わりは目まぐるしく、見ていて飽きない。

顔もいい、性格もいい、容姿も素晴らしい。
ただ、頭だけはそうもいかなかった。


「もう。知りませんからね、あの人にストーカーされても!」

「なに怒ってんだってばよ。オレなんかにストーカーする物好きなんていねえってば。」


ケラケラと軽い笑い声を立てて、ナルトは仕事の続きをする。
今は休憩時間ではない。
さっさと仕事を終わらせて、お昼の休憩に入りたいのだ。

 

(・・・今日オレ何食べよっかな。んーと・・・。)

 

「・・あの、すみません。」

「あっ、はぁい・・・!」


件の黒髪の青年に呼ばれ、彼の傍による。
どうやら紅茶のおかわりのようだが、葉を変えたいらしい。
どれがお勧めですか、と彼がメニューを広げた先を見ながら、
ナルトは右側のページ、ランチメニューを見ながら今日の昼飯を思っていた。


「・・・・・ねえ、聞いてる?」


「・・・・へっ? あ、あ、・・す、すみません! 何、ですかってば?」


オムライスか、カルボナーラか迷っていたナルトは、突然話しかけられて酷く驚いた。
慌てて青年を見やると、彼は、ナルトがぼんやりしていたのが面白かったのか、くすくすと笑い声を上げた。


「・・ずいぶん、熱心に見てるなぁと思ったら、もしかして、お昼ご飯考えてたの?」

「うっ・・・も、申し訳ありませんってば・・・。」


青年にはしっかりバレている。
なんで、と思うよりも早く、「キミの考えは読めやすいから」と言葉を返され、
あまりに恥ずかしくて、耳まで赤くなってしまった。


「いいよ。どれがいい?」

「・・・はい?」

「お昼ごはんの話。・・・何でも頼んで良いよ。ボクの伝票につけておいて。」

「えっ・・・・!?」

 

この青年は、どこまで本気なのだろう。
確かに、昼食は店のものを頼むつもりだったが・・・。
なぜ、自腹で昼食を取らねばならないことを知っているのだろう。


「遠慮しないでいいよ。最近、節約してるんでしょ?」

「うん、まぁ・・・、そうですけど・・・。なんで、そんなこと・・・知って・・・・。」


青年は答えない。
ただ、いっそ鮮やかなまでに美しい微笑を湛えたままだ。
本来、笑顔というのは、胸のうちを温かくしてくれるもののはずなのに、
なぜだかナルトは、酷く美しいその微笑みに、鉛を飲み込んだような感覚に陥った。

 


(・・・なんか、不思議な人だなぁ・・・・)


「――ねえ、ナルト。何にする? ここのオムライス、好きなんでしょ?」


「あ、うん。・・じゃぁ・・・オムライス・・・。」


「分かった。ちゃんとつけておいてね。」


墨色の瞳が瞬き、慈愛を秘める。
なぜだろう、その揺らめきは、まるでこれから起こる何かを予言するかのように・・・。


(あれ、名前教えたっけ? ここのオムライスが好きなことも、節約してることも・・・、いつ話したっけ?)


「どうしたの、ナルト?」


青年は、微笑を湛える。

甘く揺らめくその視線は、ぽつぽつと降り始める疑念は、
貼り付けたような、薄っぺらい笑顔は・・・、

いつまでも、いつまでも、絡み付いて、離れなかった。


fin
 

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